2025年最新版|教育資金の一括贈与1500万円非課税制度を徹底解説!

「教育費って本当にかかる…」「大学まで考えると、いったいどれだけ必要なんだろう?」
そんな不安を抱える親世代、そして「孫の学費を支援してあげたい」と願う祖父母世代の方も多いのではないでしょうか。

実は、教育資金に限っては最大1500万円まで贈与しても非課税になる特例制度が存在します。
それが「教育資金の一括贈与の非課税制度」です。

ただしこの制度、条件や手続きに少しクセがあります。
令和5年度の税制改正でルールが変わった点も多く、「制度は聞いたことがあるけど使い方がよく分からない…」という声も増えています。

この記事では、そんなモヤモヤをまるごと解消!
2025年時点での最新ルールをもとに、制度の仕組み、対象条件、必要書類、手続きの流れまで徹底解説します。
特に注意してほしい落とし穴や失敗事例も紹介するので、「あとで後悔…」なんてことも防げますよ。


教育資金の一括贈与とはどんな制度?

教育資金の一括贈与制度は、子や孫に対して最大1,500万円までの教育費を非課税で贈与できる制度です。
通常、年間110万円を超える贈与には「贈与税」がかかりますが、この制度を活用すれば大幅に税負担を減らすことが可能に。

対象は「祖父母や両親など直系尊属」から「30歳未満の子や孫など直系卑属」への贈与で、教育目的に限定されます。
金融機関を通じて専用口座を開設し、必要な教育費を都度引き出す「信託型」の仕組みが基本です。

この制度を一言でいえば、「将来の教育費を一括で前払いし、その分が非課税になる制度」です。

たとえば、「孫の大学進学のためにまとまった資金を渡しておきたい」と思っても、通常の贈与だと110万円を超えた時点で贈与税がかかってしまいます。
しかし、この制度を活用すれば最大で1,500万円(学校以外の費用を含める場合は上限1,000万円)まで、非課税で教育資金を贈与することが可能になります。

しかも一括で預け入れても、実際の支払いは都度領収書を提出し、その分だけ金融機関が受贈者の専用口座に振り込む“後払い方式”。
受け取った側が自由に使えない点が、「本当に教育に使われる」という制度の信頼性を支えています。

そもそもなぜ非課税で贈与できるの?

理由は、「若年層への資産移転を促すことで、経済を活性化したい」という政府の思惑にあります。

実は、日本の資産の多くは60代以上の高齢層に偏っています。
総務省の統計でも、50歳未満の世帯は純貯蓄がマイナスになる傾向があるのに対し、60代では平均2,000万円以上の貯蓄があります。

「せっかく資産があっても、高齢者が亡くなるまで動かないのはもったいない」
そんな考えから、「教育資金として使うなら、早く若い世代に渡してもOKですよ」という制度が生まれたのです。

つまりこれは、「教育支援」と「経済政策」の両方を兼ねた特例なんです。

制度が生まれた背景と目的は?

教育資金贈与の非課税制度は、2013年(平成25年)に導入されました。
背景にあったのは、相続税の課税強化と資産の高齢者集中です。

2015年には相続税の基礎控除が引き下げられ、多くの家庭が相続税の対象になるようになりました。
その影響で、「生きているうちに財産をどう渡すか」が急務になったのです。

また、進学や学習塾、習い事など、教育費の負担は年々増加しています。
教育費は「生活費」ではなく「投資」であると捉えられており、それを家族で支えるという考え方が強まってきたのもこの制度誕生の理由のひとつ。

この制度によって、祖父母や親が子や孫に「未来への投資」として、教育資金を安心して託せるようになったわけです。

2025年の制度改正ポイント|何がどう変わったのか?

「教育資金の一括贈与非課税制度」は、2023年度(令和5年度)の税制改正によって重要な見直しが行われました。
制度自体は2026年3月末まで延長され、使いやすくなった一方で、新たな条件や課税ルールが加わり、より慎重な活用が求められています。

「制度が延長されたから安心」と思っていると、後から相続税や贈与税の対象になってしまうリスクも…。
このセクションでは、改正されたポイントを3つに絞って、かんたんに整理していきます。

制度の有効期限はいつまで?2026年3月まで延長に

もともとこの制度は「2023年3月末」で終了予定でした。
しかし、令和5年度の税制改正により、3年間の延長が決定され、2026年3月31日まで利用できることになりました。

この延長は、制度の有効性が認められた結果といえる一方で、「これが最後の延長になる可能性が高い」とも言われています。
そのため、「制度を使おうかな」と思っている方は、早めに検討するのが得策です。

なお、非課税となるのはこの期限までに信託契約を結んだ教育資金に限られます
それ以降は、制度が終了または縮小される可能性もあるため、今のうちに準備を進めておくことが安心につながります。

「相続税5億円ルール」の追加で注意点が増加

今回の改正でもっとも注意が必要なのが、「相続税課税額が5億円を超える人」への新たなルールです。

これまでは、教育資金として贈与されたお金が未使用のまま贈与者が亡くなった場合でも、一定条件を満たせば相続税の対象外になるケースがありました。
ところが、2023年4月以降に贈与された教育資金については、贈与者の相続税課税額が5億円を超える場合、その未使用分には相続税がかかることになりました。

「孫の大学進学用に贈与したけど、もし自分が途中で亡くなったら…」と心配になる方もいるでしょう。
この点は、資産家ほど税負担リスクが増したといえます。

贈与額が多い、または資産総額が大きい場合は、必ず税理士など専門家に相談のうえ制度利用を検討すべきです。

贈与税の「特例税率」廃止でどう変わった?

もうひとつの大きな変更が、「贈与税の税率」に関するルールです。

以前は、30歳までに使い切れなかった教育資金に対して贈与税が課される際、「受贈者が18歳以上」であれば**特例税率(税率が低い)**が適用されていました。
しかし、今回の改正でこの特例は廃止され、年齢に関係なく「一般税率」が適用されることに

つまり、「30歳までに使い切らなかった分」は、今までよりも重い税率で課税される可能性が高くなったということです。

たとえば、残額が1,000万円だった場合、特例税率では数百万円の贈与税で済んでいたケースが、改正後はそれ以上になることもあります。

「どうせなら最大限贈与しておこう」と安易に1,500万円入れてしまうと、**後で多額の税金を払うはめに…**なんてことにも。
資金は“本当に使う予定がある額だけ”に絞るのが賢明です。

制度を利用するための条件と手続きの流れ

この制度を活用するには、特定の条件をクリアしたうえで、金融機関を通じた手続きを行う必要があります。
「誰から誰へ贈与できるのか?」「何を準備すればいいのか?」を押さえておくことで、スムーズに制度を利用することができます。

ここでは、贈与者・受贈者の条件/必要書類/具体的な手続きの流れをわかりやすく解説していきます。

贈与する人・される人、それぞれの条件は?

教育資金贈与の非課税制度には、「贈与する人」「贈与される人」それぞれに明確な条件があります。
「制度を使えると思っていたのに対象外だった…」というトラブルを避けるため、事前に以下の条件を確認しておきましょう。

【贈与者の条件】

  • 直系尊属であること(例:祖父母、父母、曾祖父母など)
  • その他の親戚(叔父・叔母など)は対象外

【受贈者の条件】

  • 贈与を受ける時点で30歳未満であること
  • 前年の合計所得金額が1,000万円以下であること
  • 贈与契約の締結日・信託契約日それぞれで年齢・所得条件を満たす必要あり

✅ ポイント:兄弟姉妹や孫など「直系卑属」であれば、複数人に対して贈与することも可能です(ただし1人あたり最大1,500万円まで)

必要な書類と契約書の書き方

制度を利用するには、贈与を証明できる書類の準備が必須です。
中でも「贈与契約書」は最重要書類となり、税務署からの指摘を防ぐためにも正しく作成する必要があります。

【必要な書類一覧】

  • 贈与契約書(書面)
  • 教育資金非課税申告書(金融機関が用意)
  • 受贈者の身分証明書、所得証明書など
  • 領収書(支払いごとに提出)

【贈与契約書の作成ポイント】

  • 誰から誰へ、いつ、いくら贈与するかを明記
  • 教育資金であることを明記(「教育費目的の一括贈与」と記載)
  • 署名・捺印を双方が行う
  • 贈与者が未成年の場合は代理人が必要になるケースもあるので注意

✅ ポイント:契約書がないと「贈与ではなく一時的な預け入れ」とみなされ、後々の税務調査で課税されるリスクも!

金融機関での信託口座開設から引き出しまで

実際に制度を使う際は、指定された形式で**「教育資金口座(信託口座)」を開設**し、贈与資金を入金する流れになります。
その後、教育費の支払いが発生するごとに、領収書を提出し、都度払い出すという運用になります。

【主な流れ】

  1. 金融機関に「教育資金贈与信託」を扱っているか確認
  2. 贈与契約書と申告書を金融機関に提出
  3. 教育資金信託口座を開設
  4. 贈与資金(最大1,500万円)を入金
  5. 教育費を支払うたびに領収書を提出
  6. 金融機関が内容を確認後、専用口座へ振り込み

この口座はATMでは引き出せず、教育費用にしか使えない管理された資金として運用されます。
また、口座は受贈者一人につき一口座しか作れないため、複数の祖父母がそれぞれ1,500万円ずつ贈与することはできません。

✅ ポイント:金融機関によっては手数料がかかる場合もあるので、事前に比較・確認しておくのがおすすめです。

対象となる教育費の具体例と使えない費用

「教育費」と一口に言っても、その範囲は意外と複雑です。
制度を正しく使うためには、**「非課税になる教育費」と「対象外の費用」**を明確に把握しておく必要があります。

この章では、学校関係、習い事関係、その他の支出について、実際の支出例を挙げながら解説します。
「これは大丈夫?」「これはアウト?」という疑問をここで解消しましょう。

学校関係に支払える費用一覧

教育資金贈与の非課税制度では、**「学校に対して直接支払う費用」**がメインの対象です。
文部科学省が認可した学校であることが原則で、幼稚園から大学、専門学校まで幅広く適用されます。

学校からの請求書や領収書があれば、以下のような費用は原則すべて非課税対象となります。

費用項目内容の例
授業料小中高大の授業料、通信教育も含む場合あり
入学金・受験料入学金、入園料、入学検定料など
施設費校舎・教室などの利用料、設備使用料
給食費・バス代幼稚園・学校の給食費、スクールバス費用
PTA・部活動費生徒会費、学級会費、部活の運営費など
寮費全寮制学校や下宿の寮費(校舎内にあるもの)

✅ 学校関係費用の上限は「最大1,500万円」までとなっており、原則的にはこの中で自由に利用可能です。

塾・習い事・交通費も対象になる?

「学校以外に払ったお金」はどうなるの?というのもよくある質問です。
実は、一部の塾・習い事・通学交通費なども対象になりますが、上限は500万円と別枠で管理されます。

また、「学校が指定している」「指導者が必要と認めている」など、条件付きの支出もあります。

項目内容の例
学習塾・予備校月謝、模試費用、夏期講習など(※対象教育機関であること)
習い事(指定あり)英会話、ピアノ、スポーツ教室など(月謝、教材費)
指定学用品制服、ランドセル、上履き、ジャージなど
交通費通学定期券、習い事への交通費(指導者証明が必要)
学童保育学童クラブ・民間学童の月額費用

✅ この「学校外費用」は合計500万円までが非課税枠なので注意が必要です。

対象外になるケースに要注意!

制度を誤って使ってしまうと、後から「これは贈与税の対象です」と課税されることがあります。
特に以下のような費用は教育目的であっても非課税になりません

非課税対象外になる支出の例(注意点)

  • 本人の普通預金口座に直接振り込んだお金(自由に使えてしまうためNG)
  • 学校や指導者の指示がない市販教材や書籍代
  • 下宿の家賃や家具代(寮費以外)
  • 海外の短期留学にかかる旅行費・観光費
  • 保護者の交通費や同行費用
  • 同窓会費や卒業パーティー費用

✅ ポイント:「学校・教育機関からの明細」「指導者の証明書」が出せる支出は通りやすい!

よくある失敗例と注意点|後悔しないために

「非課税になるって聞いて安心してたのに、税金がかかった…」
「制度を使ったけど、思ってたより使いにくかった…」

教育資金の一括贈与制度は非常に便利な制度ですが、条件や運用ルールを正しく理解していないと、あとから高額な税金が発生したり、贈与が無効になるなどのリスクもあります。

ここでは、制度利用者によくある失敗パターンと、事前に知っておくべき注意点を具体的にご紹介します。

使い切れなかった場合の贈与税の課税例

「どうせなら満額1,500万円入れておこう」と考える方も多いですが、それが落とし穴になるケースもあります。
制度では、受贈者が30歳になるまでに使い切れなかった金額には、贈与税が課税される仕組みです。

たとえば…

「うちの孫は高校・大学の費用もかかるから1,500万円贈与しておけば安心だろう」と思っていたけど、実際は800万円しか使わず。
結果、残りの700万円に対して贈与税が課税され、200万円以上の税金がかかってしまった…

というケースも実際にあります。

しかも、2023年の改正により「年齢にかかわらず一般税率」が適用されるようになったため、税負担が以前よりも重くなった点にも注意が必要です。

✅ ポイント:金額は「将来の教育計画に基づいて」慎重に設定し、必要になった時に追加入金する方がリスクが低くなります。

契約後に後悔?取り消しができない落とし穴

一度この制度を使って信託契約を結んでしまうと、途中で解約や資金の返還は一切できません
これは、「制度の悪用を防ぐ」ためのルールですが、利用者にとっては大きなデメリットにもなります。

たとえば…

「贈与したものの、家計が苦しくなったからやっぱり一部だけ戻してほしい」
→ 無理です。信託口座に預けたお金は、もう贈与者の手元には戻りません。

「孫が進学をやめてしまった」
→ 教育費として使わない限り、残高には贈与税や相続税がかかる可能性も。

つまり、**「信託に入れた時点で戻せない前提」**で計画を立てる必要があります。

✅ ポイント:最初から大金を預けるのではなく、学年ごとや進路が見えたタイミングで段階的に入金する方法も検討しましょう。

領収書がなくて出金できない!

この制度で資金を引き出すには、「教育費として使った証拠=領収書の提出」が絶対条件です。
ですが、これが意外と面倒で、トラブルの元になりやすいポイントです。

たとえば…

「塾での支払いが口座振替のみ。領収書は発行してもらえなかった」
→ 金融機関によっては、振替明細や通帳コピーではNGになることも。

「英会話教室の教材代は口頭で請求された」
→ 書面の証明がないため、教育資金とは認められず出金できない。

また、領収書があっても内容が不明瞭だったり、日付が古すぎたりすると却下される場合もあります。

✅ ポイント:支払い前に「領収書は発行されるか」「書面に何が記載されるか」を必ず確認しておきましょう。
出金できなかった分は最悪、贈与税対象になってしまいます。

まとめ|教育資金の一括贈与制度を賢く活用しよう

今回の記事ではこんなことを書きました。以下に要点をまとめます。


✅ 要点まとめ

  • 教育資金の一括贈与制度は、最大1,500万円まで非課税で贈与できる特例制度
  • 利用には、贈与者・受贈者それぞれに明確な条件がある
  • 制度の有効期限は2026年3月まで。2023年の改正で注意点も増加
  • 信託口座の開設や領収書の提出など、手続きには細かなルールがある
  • 学校以外の教育費(塾・習い事など)も最大500万円まで非課税対象に
  • 一括で入金しすぎて使い切れないと贈与税がかかるので注意
  • 金融機関選びは「対応・手数料・使いやすさ」でしっかり比較が必要

教育費の不安を減らし、子や孫の未来を後押しできるこの制度。
ただし、使い方を間違えると高額な税金の対象になってしまうことも。

だからこそ、「制度の仕組みを正しく理解し、自分に合った方法で使うこと」が成功のカギになります。

少しでも「自分も使えるかも?」と思った方は、早めに家族や専門家と相談して、行動に移してみてくださいね。

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